「離せば無限、握れば一点」という言葉をご存知でしょうか? もともと格言
好きな私ではありますが、この格言は「至言、名言」と思うものの一つで、
以前から大好きでした。
先日、この格言そのままのお話を聞いて、あまりに感心したことがありました。
それは、ある方のご先祖の「江戸のお風呂屋さん」の話でした。
そのご先祖は北陸から江戸に出てきて、苦労した末にお風呂屋さんを多店舗展開
するに至り大成功したのですが、あるときにそれを全部売り払い、そのお金を浄土
真宗の総本山である東本願寺に寄付したのだそうです。
その見返りは、思ってもみない「檀家総代」への就任。浄土真宗の信徒の頂点に
立つ名誉を与えられたのです。「檀家総代がどうした? そんな役割をもらうため
に苦労して築いた財産を手放すなんていったい何を考えているの?」と思われるか
もしれませんが、なにをかいわんや、当時の東本願寺の檀家総代といえばその信用
力たるや尋常ではなく、「総代さま、お金がご入用ならおっしゃってください。
いつでも、いくらでもお貸しします。なにしろあなた様のバックにはお東さまが
付いておられるのですから」という状況になったのだそうです。その結果、その
ご先祖はお風呂屋さんを再興し、たちまち元より大きな事業にしてしまったという
から驚きです。
まさに「離せば無限、握れば一点」を地でいったようなこのお話です。混沌と
した時代だからこそ、私達がどこまで人の為、世の為に色々な欲を捨てきれるかが
問われていますね。平和は私の手の中にあります。ゆっくりお風呂にでも入って、
思いをめぐらせて下さい。
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