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対談この人と
話そう...

たかす文庫 「この人と話そう…」

染織家 芝崎 重一さん

聞き手・蓮井 将宏(や和らぎ たかす 店主)

 ●着物への想い

 「糸を傷めたら着物だって着るものじゃなくなる。」と、
群馬県伊勢崎の染織家 芝崎重一さんは言います。着物は着る為のもの。
何年かに一度、数時間しか着ない「お着物」ではなく、それを着て暑さ寒さをしのぎ、
日常の使用に耐え、着る人が着心地良く感じてもらえる「着物」を作りたい。
その想いが、国産繭の座繰り糸を使った、昔ながらの自家製の染織につながっていきました。
 中国やブラジル産の糸が大半を占め、紡績工場の製品化された糸がが染織界の主流となっている今、
改めて手仕事の意味を改めて伺って来ました。

 


今から60年前のおがみ糸。
くず糸でひいたおバアチャンの糸。
すばらしい力です。

藍をたてる。温度調節のため、
夏以外は灰にて温める。

座繰り糸。ふんわりとしなやか。
赤城の女性達の手仕事。

椿などの灰の溶液に麻袋に入れた
糸を浸して精錬する。現在では薬品を
使うところがほとんどだがそれでは
糸を痛めてしまう。

炭の灰汁(あく)。アルカリ性の濃度によって
使い分けている。残った灰は陶芸家の方が
釉薬(ゆうやく)に使う。

精錬前後。



「一番大事なのは糸」

芝崎:今の糸は、着物の糸じゃなくなったんだいね。
蓮井:着物に適していないということですか、日本の絹糸は。
芝崎:そう。明治になって大きな工場作って、大量に絹糸を生産して輸出して。
    日本の経済を支えたわけでしょ。それは輸出用の糸だね。少ない繭の量で
    たくさん出来るように、ぎゅっと引っ張って細い糸を作ったわけだいね。
    それを輸入して、ヨーロッパや米国が何を作ったかっていえば、着物じゃないよ。
    だから根本的には違うわけだね。着物はそれ着て、暑さ寒さをしのがなくちゃならないでしょ。
    だから座繰り糸みたいに糸を引っ張り過ぎないで、繭を多く使って、本来絹糸が持つ空気層が
    そのまま残るような糸が、一番合ってる。しかもそういう糸は軽いんだよ。
    空気が入ってるからね。江戸時代のもので残ってるものは、みんなそうだ。
蓮井:芝崎さんの糸を初めて見た時は本当に感動しましたよ。輝いていて、羽のように軽い。
芝崎:今の人は、みんな同じ紡績工場の糸を使って織ってる。みんな同じ風合いでしょ。だから色柄で
    勝負しているけど、そうじゃない、着物は着るものなんだから、着て、着やすくないと。
蓮井:陶芸家はその肌合いの為に土から自分でブレンドするわけですしね。
    なるほど、芝崎さんがいつも若い人に自分の糸を作れと言っているのがわかりましたよ。
芝崎:自分の糸じゃないと個性がないでしょ。たくさんの着物がある中で、お客さんは良い品を
    選びたいと思ってる。だから、糸が一番大事なんだよ。決して人まかせにできない。

素材の性質を知りぬき、どれだけ絹糸の良さを活かした
織物を織ることが出来るか、そこに一番神経と手間ひまをかける。それが芝崎さんの信念
。



かせに巻かれた色とりどりの糸たち。 桜と椿の木の皮。内側に色素あり。

この機織機から多くの傑作が
産み出される。

糸の棚。 仕事場にて。芝崎さんと息子さん。




「キャッチボール」

 
小学生の頃、唯一の遊びは草野球でした。毎日、河原に行くと友達が居て、
自然に声を掛け合い時間を忘れて遊びました。楽しくて楽しくて、今の様に
パソコンやTVゲームもない時代でしたが、山や川で遊んだ事が、少年時代の
懐かしく輝かしい思い出です。
 「キャッチボール」とはボールをキャッチすると書きます。上手な子は、
球を相手の取りやすい処に投げ、また取り易い処に自ら素早く動いて取る
ことが出来ます。ボールを心に置き換えると、相手の気持ちを考え、相手の
立場に立った行動をする事に他なりません。幼い頃の遊びの中に、大人に
なってからの大切な教えがある事を発見したのは、最近になってからです。
現代人は「キャッチボール」を日々の中に取り戻す事が必要ですね。
また、子供時代にしっかり自然の中で遊び学ぶことも忘れてはいけませんね。
 幼き頃のセピア色の映像は今も続きます。いつまでも友と、時間を忘れて
キャッチボールをしたいと思いつつ…今日も一日が終わります。
両親によく言われました。夜遅くまで河原で遊んでいると「川のお化け」が
出てくるよ、と。一人、また一人と友がグラウンドを去ってゆき、
私一人になると、月明かりに照らされて、河原は銀色の別世界でした。






「 秋のや和らぎ展 」    平成20年9月22日(月)〜26日(金) 

※芝崎重一さんと、たかすの和の世界をお届けします。
是非、芝崎さんの作品を直にご覧下さい。

vol.38 (2008年9月発行)より
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