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対談この人と
話そう...

2004年12月発行(vol.23)
たかす文庫「この人と話そう…」 染繍舗「たち花」当主
河合 憲一さん
聞き手 蓮井将宏(や和らぎたかす店主)

独特の洒脱な型染めで知られる染繍舗「たち花」の2代目当主。
先代の遺した物づくりへの姿勢と多くの優れた型紙を継承し、京都の町家の社屋で、製造卸の看板を守り続ける。



■3千の型紙から生まれる独特の型染め

店主:今日は、京都の下京区にある社屋でお話をうかがっています。町家がそのまま社屋になっているのですね。中庭の向こうには立派なお蔵も見えますが。

河合:あの蔵の中に歴代の型紙を収蔵しています。以前は、あそこが専属の絵師さんの仕事場でした。その方が25年前に老齢で病められてからは、なかなか満足できる絵師さんに巡り会えず、結局、型紙倉庫なりました。

店主:「たち花」さんといえば、やはり型染めですものね。今現在、型紙はどのぐらい所蔵しておられますか。

河合:使っていないものも含めると3千型ぐらいでしょうか。今も毎月1型を目安に、復刻型や新型を起こしていますから、数は増え続けています。

店主:一つの絵柄を完成させるのに、何枚ぐらい型を使うのですか。

河合:柄の重さ(複雑さ)にもよりますが、うちの商品の場合は25型から30型が標準です。それを5色程度の色数で摺り分けていきます。ただし、同じ色を使うにしても、何度も重ね摺りして、色の濃淡(グラデーション)を作るケースもよくあります。

店主:そうして、色柄ともに独特の、あの「たち花」ならではの型染めが出来上がるわけですね。「たち花」さんの商品は、すぐに分かります。絶対に他社の商品にはない個性と香りがありますから。ものすごく物づくりにこだわっておられることが、商品説明などを受けなくても伝わってくるのです。
■他ではお目にかかれないものを創る

河合:物づくりにこだわるというのは、「たち花」の社訓のようなものです。創業者である父親は、問屋マンとして、花柳界や芸能界御用達の名門小売店を担当していました。その名店のご主人に審美眼と物づくりのノウハウを徹底的に教え込まれたこともあって、自分のデザインセンスと職人さんの技術をコラボレートさせて、他ではお目にかかれない商品を創り出すことを無上の喜びにしていました。

店主:きものの名プロデューサーだったのですね。

河合:ええ。とくにデザインにこだわっていて、いったんデザインについて考え始めると、それが反物の図案だということを忘れてしまって、寸法の按配やその柄がどの部分に当たるかといった配慮はどこかへ消し飛んでしまっていました。芸術家肌と言ってもいいでしょうね。

店主:そうしたお父様の様子を見ていて、河合さんは、ずっと製造販売にこだわり続けているのですか。

河合:そうですね。きものが爆発的に売れた昭和40年代に、大量の在庫を抱えておいて、小売店からの要請があればすぐに出荷するというスタイルの商売、つまり問屋が隆盛しました。しかし、親父はその道を選ばずに、レベルを保てる専属工場での製作と、なるべくお客様との距離が近い販売方法にこだわったのです。そのせいで、確かに大会社にはなりませんでしたが、この不況下においても、細々とではありますが、物づくりも商売も堅実に続けられる、芯の強い会社になりました。今ではこれでよかったと思い、親父に感謝しています。

■若い世代を染織世界へ導くために

店主:今後、目指すものは何ですか。

河合:息子が入社したこともあって、次代の作り手と売り手を育てるためには、どうしたらいいかを懸命に考えています。特に職人さんには、決して高額でなくてもいいから、ゆったりした気持ちで楽しんで仕事ができる環境や料金を確保してあげたいものです。そうして余裕を持てれば、きっと物を見る目が出来てくる。それが出来れば、世界でもトップクラスである日本の工芸技術との相乗効果で、どんどんいいものが出来てくるでしょう。いい物が出来れば、いい商売もできる。そうしたら、物づくりにも商いにも、若い継承者がきっとたくさん出てくるはずです。せっかく先人に残してもらった「日本の染織」という素晴らしい遺産を、次代に、喜ばれる環境とともに継承してもらえるように、考え、励んでいきたいと思うのです。




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