磁器?陶器?
染めの着物と織りの着物、それぞれの良さを焼き物に例えると、染めの着物が磁器に当り、
最初から完成された美しさを持つのに対し、織りの着物は陶器と同じように、
使い馴染むうちに風味が加わり、よりいっそう着やすい着物になっていきます。
紬など、織り上がりの硬さが取れ、しなやかに身に添うようになった着物の着やすさといったら!
織りの着物の価値は、使い込んでこそ増すもの、特に素材が良く技術のしっかりしたものは
なおのことです。日常の使用に耐えるからこそ「良質」なのですから。
だから、せっかくの良い紬の着物が傷んでしまうからおしまいしたまま、などということは、
本当は勿体ないことです。汚れたり八掛が擦り切れるのを着物が傷んだと思って
悲しむのではなく、新しく再生してあげる時期の合図だと考えてはいかがでしょうか。
洗い張りをし、仕立て直すことにより、また新しくそしてなおいっそう着やすい、価値のある
着物になっていきます。着物を美しく着る為に身につける機会を多く持つことは、
より着やすく美しい着物への成長に繋がるように思います。
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