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対談この人と
話そう...

2003年12月発行(vol.19)
たかす文庫「この人と話そう…」 塗りもの師
赤木 明登さん
聞き手 蓮井将宏(や和らぎたかす店主)

岡山県金光町出身。東京で「家庭画報」の編集者をつとめているときに
塗芸の大家角偉三郎氏の作品に感銘を受け、26歳で輪島に移住し塗りの修行を始める。
32歳で独立。生活に根ざした温かな風合いの作品が注目を浴びている。
■雑誌編集者から塗りもの師へ

店主:今日は岡山の高島屋で開かれている個展にお邪魔しました。美術画廊での個展開催なんてすごいですね。

赤木:百貨店での個展は初めてなので、期待と不安がないまぜになった状態でやってきました。でも、幸い、予想以上に多くの方にご来場いただいています。ここ(高島屋岡山店)は、僕の郷里にも近いですから、幼なじみや知人もたくさん訪れてくれます。夕方来場した仲間と、そのまま酒場に流れる毎日ですね(笑)。

店主:それは楽しそうですね。ところで、4年ほど前に、輪島の赤木さんのご自宅兼仕事場を訪ねたことがありましたよね。あの時は、知人に「すごくいい作品を創る新進の作家さんがいるからぜひ会ってみたら」と教えられてお訪ねしたのですが、それからあれよあれよという間に著名作家になられて、雑誌などでもよく拝見するし、ギャラリーからも引っ張りだこですし、本当にご活躍ですね。

赤木:僕は大学を卒業後しばらく出版社に勤めてから、26歳でこの世界に入りました。遅いスタートだと自覚していたので何とか遅れを取り戻したいとがむしゃらに修行しましたし、独立後もそのスピードや密度を保って走ってきたと思います。また、元編集者だった関係で、マスコミに取り上げられやすかったという面もあります。で、ここまで、周囲に幾分持ち上げられながらそれなりに疾走してきたわけですが、実は、最近ちょっと別に思うところが出てきました。

■女子高生に愛されるお弁当箱

店主:何を思うのですか?

赤木:「恢復」(かいふく)ということです。

店主:「恢復」ですか?

赤木:そうです。僕と人との関係、作品と人との関係、それをここでちゃんと見つめなおして、修正すべきは修正したいな、ということですね。たとえば、マスコミやギャラリーにもてはやされているうちに、どことなく変形してしまった友人や家族、地域との関係をもう一度ちゃんとやろうよ、というようなこと。それから作品についても、元来大事にしたかった「暮らしの道具」としての塗りものの機能や愛され方とは何なのかを見つめなおし、そこをちゃんと作っていこう。そういうことです。もともと僕のなかには「漆器」とはその美しさを愛する美術品、「塗りもの」とは使い心地を楽しむ生活品という区別があって、僕自身は「塗りもの」を作ろうとしてきたのです。その原点に意識をきちんと戻したいと思ったのです。

店主:足元を もう一度地に付けるといった感じなのでしょうか?

赤木:ええ。たとえば、今、一生懸命に取り組んでいるのは「女子高生に愛される塗りのお弁当箱」なんです。いちばん上の娘が喜んで持っていってくれる塗りのお弁当箱を、父親としての僕が、ああでもないこうでもないと想像し、試行錯誤して作る。それを娘が「ありがとう」とか「ここが違うのよね」とか思いながら使う。そういうものづくりをしたいな、それが東京での昼夜逆転した生活を否定した自分の求めた暮らしであり、ものづくりの姿ではなかったかなと、そんなことを思い始めたわけです。
■人とモノのよい関係を夢見て
店主:使う人との関係をまっとうして完成する作品、ですね。

赤木:ええ。それがないと「良いモノ」とか「悪いモノ」とかいう判断もできないのではないかと…。

店主:わかるような気がします。どんなに高価な物でも、自分にとって意味のないものはありますし、その反対にたとえぐちゃぐちゃに目のとんだマフラーでも、娘が僕にために編んでくれたものなら宝物になりますものね。

赤木:ですから今の僕にできること、したいと思っていることは、僕の作ったものと出会う人が、それと少しでも良い関係になれるように夢を見て仕事することです。そのような関係を想像しながら、それにかなった素材を選び、技術を工夫し、形を作っていくということです。こうした願いを込めてものを作ると、失った友情やかなわなかった愛情を取り戻せるような感じがして、僕自身も癒され、安らかな気持ちになることができるのです。

店主:では、うちで11月24日から12月2日まで開催する個展では、そういう赤木さんの思索や気持ちがより鮮明に打ち出された作品にお目にかかれるかもしれませんね。とても楽しみです。今日はどうもありがとうございました。




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