店主の
ひとりごと
石鎚山 1982 | ![]() |
石鎚山1982 私が石鎚山に登ったのは高校生の時が最初です。 行者さん達と登った事を憶えています。それから数度、夏場に一人で行きました。 どうして一人だったかといえば、特に理由はありません。何となく登りたくなった、お山に 会いに行きたくなったからだと思います。もう三十年以上前の事ですが、その時の自然の 厳しさ美しさをよく憶えています。 不思議なもので、山では人は、声を掛け合って歩きます。「今日は」、「もう少しだよ」、 「ゆっくりね」と初めての人でも…、山とは聖なる場所ですね。身も心も穏やかになり、 「素」になれます。それがどうして地上ではうまくゆかないのかと思った学生時代でした。 こんな風にふと石鎚の事を思い出したのは、心のどこかに、原点回帰の時は今だと、 思っている自分がいるからかもしれません。大した欲もなく、両親の愛に包まれて 自分探しをしていた日々をなつかしく思います。 厳しい冬を乗り越えて、咲く花程美しいものだなぁと思ったあの頃…。 そうして今、また山に登る時かと…。山も人の世も同じように想えます。 そこには、登らないと決して見ることが出来ないものがあると確信します。そして今までの 30年、コレからの30年後に対し新たな心で邁進したいです。 追伸 岩場に一の鎖、二の鎖、三の鎖が掛かっていてそちらを上ると近道ですが、 回り道になってもゆっくり歩く方が、景色が美しく楽しいものです。 合掌 ○石鎚山…標高1,982mの山。近畿以西の西日本最高峰。 |
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vol.52 (2012年3月発行)より |
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