店主の
ひとりごと
大船鉾 |
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今夏、五十年ぶりに復活するのが大船鉾である。 神功皇后の「凱旋の船」とも言われ、ご神面や懸装品が今に伝わり奇跡の復興が叶ったのだ――。 その美しい鉾を自分の目に焼きつけたく京に参りました。 組み立てがほぼ終わり、町の衆が誇らしげに鉾を見上げたり撫でたりしていました。 この鉾を創るためには多くの人々の協力があり、 数十年にわたって各々が一つの目的に向かって歩んできた事を思うと、鉾が光で包まれている様に見えました。 祭りの真の目的は神事であり、「神人和楽」にあると言われます。 神様と人とが和して楽しむという心です。時代は移り変わり万物流転していきますが、 祇園祭は今もなお私達の前にあります。それを支えた民衆がいるからです。 ハレとケをしっかり持ち、普段は慎ましく、紋日には立派に威儀を正し、暮らした人々が。 平成二十六年夏に百五十年ぶりに大船鉾が船出し、 前祭りと合同化されていた後祭りが四十九年の年を経て原点回帰します。 今年は何か新しい旅立ちの年かもしれません。 この夏、この国を発し、世界中が平和であれと切に願います。船は前に進みます。ご自愛下さい。 |
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vol.62 (2014年9月発行)より |
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