店主の
ひとりごと
「冬のキャベツ」 | ||
雪の中でじっと育てられたキャベツは甘味があり、美味しいものです。 生で食べるとよく分かります。冬の寒さをしのぐ為に自ら糖度を上げ、 キャベツ自身の水分を凍らせないのです。何という知恵でしょうか。 自然は自ら変化しつつ、生きながらえます。 少し違う風景ですが、厳しい冬に晒されて一段と美しくなる越後上布の事を ふと思い出しました。二月頃、晴天の日の雪の上で晒されると、 より上布はより強くするのです。 私共は自然の思惑の中で学び暮らしてきました。伝統工芸の物の創り方は 粗財を素材に昇華させる為に手間ひまをかけます。 あくまで、よりしなやかものにしなければ、良き作品になりません。 キャベツは自分の体内を、私達は外の世界にある材料を、変えつつ今を生きています。 本当は己を整える為に私達は生を受けたのではないでしょうか? 今年、癸巳は季節に例えれば冬かもしれません。厳しい環境にも決して負けないキャベツになれる チャンスかもしれませんね。 追伸「雪持ち笹」等の紋様が和服の世界で尊ばれてきました。 「雪持ちキャベツ」の帯もなかなかですね。 銀座展のお知らせ コメント 5回目の銀座展です。新歌舞伎座に合わせてお遊び下さいませ。 店主 |
||
vol.56 (2013年3月発行)より |
←back・next→ |