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店主の
ひとりごと

「社長」と「名碗」
 ある名碗展へ行った時のことです。碗につけられた銘に興味を持ちました。
 「銘」、つまり茶碗の名前はその碗が作られたときに付けられる場合と、後にそれを所有した人が
付ける場合があります。碗と銘の両方を同時に鑑賞しているとあることに気がつきました。
 「名碗」といわれるものほど、「なるほどなあ」と感心する趣のある響きの良い銘が付けられて
いることが多いのです。名は態を表すということでしょうか。
 そんな中、ある碗に「社長」という銘が付けられていました。「しゃちょう?なんだ、この名前は」。
学の浅さを露呈した私でしたが、実はこの銘の読み方は「むらおさ」なのでした。
 そのうち「しゃちょう」と「むらおさ」、読み方は違っても、この銘の持つ意味は同じなのだと
気がつきました。「しゃちょう」の本当の意味は「むらおさ」なのです。
 「むらおさ」とは「村を治める人格者」のことです。先人の社会において「村長=むらおさ」と
なれるのは、村民からの尊敬と支持を集めた人物であって、人を押し退けてまでその地位を
奪取する人は「支配者」であっても、決して「むらおさ」とは呼ばれませんでした。
 我が身を振り返ると、私も一応「社長」と呼ばれる人間の一人ですが、真の意味での「むらおさ」
としての役割を果たしているかどうか、考えさせられました。呉服屋の跡継ぎだというだけの「社長」
ではなかったか。オーナーというだけの、年長というだけでの「社長」ではなかったか、などなど。
 本当の「社長」とは「むらおさ」と呼ばれるにふさわしい品格と人望が無ければなりません。
三角形の頂点で人を使うのではなく、逆三角形の一番下のいわば底点で、皆の生活や人権を
守ることが仕事なのです。そのためにはどんな資質が必要なのか、どんな努力をしないと
いけないのか。それが果たして私にできうるのか。私は名碗「社長」の前で考え、
立ち尽くしてしまうのでした。
vol.12 (2002年3月発行)より
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