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店主の
ひとりごと

おまじないの衣
 ある日、お客様が「白装束を作りたいんだけど」と相談に見えました。彼女はまだ50歳代で、
どう見ても健康そのもの。日頃からそのバイタリティを羨ましく思っている人なのです。
私は「なぜ、また?」と問い返さずにはおられませんでした。
 すると彼女は言いました。「健康な今、死ぬ覚悟で毎日を生きたいから」と。未熟な私には想像も
できなかったその言葉に、驚きと感動で一瞬絶句してしまったことは言うまでもありません。
 私は即座にお引き受けして、敬愛する和裁の師に仕立てのご相談をしました。
すると師は「私も今までに何度か生前に白装束を誂えたことがありますよ」とおっしゃるのです。
特に印象深かったのは、会社を経営されるとても素敵な男性が「おまじないの衣だよ」と
おっしゃって奥様と一緒に作られた時だったとか。そのご夫婦はその後も大変お元気に過ごされて、
亡くなったのはそれから数十年後だったそうです。
 この二つのお話に出会って、私は思いました。「死ぬ覚悟ができている人ほど、よりよく生きようと
努力し、精進する人だ。生きる覚悟もできていないのに、死ぬ覚悟ができようはずがない」と。
そういえば私自身が変わったのも、周囲が変わってくれたのも、全部、自分で何かを覚悟した時でした。
 白装束とは、人が一番覚悟しにくい「死」を覚悟させてくれるおまじないのようなもの。
そして同時に、「これさえあれば死ぬまで安心してしっかり生きられる」というおまじない。
こんなに人を安らかな気持ちにさせる「おまじない」は滅多にあるものではありません。
 やがてできあがった彼女の白装束は、触れるのも憚られるほど神々しいものでした。

vol.13 (2002年6月発行)より
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