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店主の
ひとりごと

階(きざはし)

「新しい世界」

壊れたものは
縫わぬがいい
縫ったところで醜さばかりが残る

太陽は雲を破って光を洩らし
蝉は殻を破って飛び立つ
私は心の破れ目から言葉をひっぱり出す

物の破ればかり縫っている貧乏所帯も
破って飛び出すところがあれば
破るにこしたことはない

破る破れ
破り破れる
破って捨てよう合わなくなった小さな服
小さな城
破って飛び出さなければ
自分が縮かむだけだ
破ったら
破れたものは気前よく捨てよう
破れた夢も
こわれた話も
夢よもう一度などと
みみっちいことをいうな
出て来たところは
いつも
新しい世界だ         


              塔 和子著 「いのちの詩」編集工房ノアから抜粋



塔和子さんは、ハンセン病を患い、国立療養所「大島青松園」に
入園している女流詩人です。「大島青松園」は、高松から船で数十分の
ところにある小島(大島)にありますが、その間には2つの世界を
隔てるように、瀬戸内海が横たわっています。
 私が塔さんの存在を知ったのは、つい最近のこと。あるお客様に
教えていただいてでした。そして今は毎日、その詩集を読んでいます。
先にご紹介したのは、その中にある詩のひとつです。
 この詩が示す塔さんの心の健やかさに、私は打たれました。長い間、
隔離され、差別され続けてきた人の中に、こんなに強く真理を見据える
心眼が宿っていたことに、頭を殴られるような衝撃を受けたのです。
 人生はよく階段にたとえられます。私はもちろん、多くの人が、その階段を
昇っては降り、また少し昇っては立ち止まったり、降りたりすることを
繰り返しています。まっすぐ上だけを見て、ゆっくりでもいいから一段一段
登り続けるだけにできないのが、人間の愚かしさです。後悔、過去の栄光、
羨み、未練…。こうしたものが、階段を昇る私たちの足を止め、引っ張り、
元いた位置にさえもとどまれないような人生にしてしまうのです。大事なのは
観念することです。あれでよかったも悪かったも過ぎたことは
それでおしまい。すっぱりと観念して、あっさりと次の階段に足を
かけることです。今まさに「未来到来」の時です。今年がみなさまにとって、
「未来到来」の積み重なる確かな1年となりますように。

※「風の舞い」というタイトルで、塔さんの映画がこの春完成します。
吉永早百合さんが詩の朗読をされます。素晴らしい事ですね。

 

vol.16 (2003年3月発行)より
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