や和らぎたかすトップページへ

きもの専門店
や和らぎ たかす
  • 展示会案内
  • └ 過去の展示会
  • きもの お手入れ処
  • ウェディング
  • 店主のひとりごと
  • たかすの杜
ギャラリーen
  • 企画展案内
  • └ 過去の企画展
和のセレクトショップ
杜のとなり
  • 旬のいちおし
  • カレンダー
  • etc.
  • トップページ

店主の
ひとりごと

福寿無量

 我が家には「福寿無量」と書いた軸があります。由来は不明なのですが、
その字も句も好きで、ことあるごとに床に掛けています。
 私なりにこの意味を「幸福と長生きは永遠のテーマ、無限の喜び」と
解釈していました。また見るたびに、黄色い福寿草の花が野原に限りなく
咲いている光景が思い浮かび、それはそれでまた心楽しく、我が家の
大事な軸なのでした。
 さて、あるとき、講演を聴きに行ったら、講師の口から「幸福とは」という
言葉が出てきました。彼は幸福を「戴いても戴いても嬉しく、
与えても与えても嬉しく、またいつの時代にも色褪せないもの」と
定義しました。つまり、「幸福とは尽きず、色褪せないもの」だということで、
ふと、あの軸に書かれた「福寿無量」の本当の意味はこれなのではないか
と思いました。
 家に帰って、この言葉についてもう一度考えてみました。人はいつも
相対的にしかものを考えられないからこそ、絶対的なものにあこがれ、
その中の真を見るものかと…。
 あなたより収入の多い私、近所でいちばんいい車に乗る家族、同級生より
成績のいい子供、女と男のどちらが得か、資本主義と社会主義の
どちらが楽か、アメリカとイラクはどちらが正しかったのか…。
こういう比較だらけの相対的な社会は、実はもっとも脆く、幸福から遠い世界
なのではないでしょうか。比較するものがなければ、自分の人生も、自分の
家族も、幸せなのかどうかわからない。またある人と比べれば幸せだが、
違う人と比べると不幸せだ。そんな心もとない暮らしや人生を、幸福と
呼ぶことは、私にはできそうにありません。
 究極の絶対的真理とは「生きている」ということでしょう。ですから、
生きているだけで、人は、本当は、もう十分に幸福なはずであり、それは
「福寿無量」なのではないかと思ったのです。
 そして、もし、その絶対的な幸福が幸福でない人、つまり生きていることが
死ぬより不幸だと思う人がいるならば、同じ人間として、私たちは彼らを
救い出すために最大限の努力をすべきだとも思いました。悲しいことに、
そういう人は、世界にたくさんいます。たとえば、戦争被害者や
いわれのない人権侵害を受けている人たちです。
 来る年が、この人たちにとっても「生きることが喜び」になる年に
なりますようにと願い、またそのための努力をする1年にしようと思います。
1年間のご愛読、ありがとうございました。
また来年もよろしくお願いいたします。

vol.19 (2003年12月発行)より
←back・next→

ページのトップへ

や和らぎ たかす > お問い合わせ
〒760-0043 香川県高松市今新町1-4 高須ビル1・2F > アクセス
tel 087-821-6341 open 10:00-18:00 > 営業カレンダー

copyright (C) YAWARAGI TAKASU all rights reserved.