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対談この人と
話そう...

2008年3月発行(vol.36)
たかす文庫 「この人と話そう…」

染色家・造形作家 望月 通陽さん

聞き手・蓮井 将宏(や和らぎ たかす 店主)


もちづき・みちあき
1953静岡生まれ。
1995講談社出版文化賞ブックデザイン賞受賞、
2001ボローニア国際児童図書展ラガッツィ賞受賞。
2007北とぴあ国際音楽祭オペラ「オルフェーオ」衣装担当。
染色、リトグラフ、ガラス絵、ブロンズなど表現形式は
多岐にわたる。


 リュート奏者つのだたかしさんのCDジャケットを飾る望月通陽さんの絵は、
ふわっとしておだやかで、どこか気品のある雰囲気を持ち、見る人の心を
柔らかくしてくれます。いつか、ギャラリーenで展示会をお願いしたいと
思っていた望月さんと、色々なご縁により高松でお会いすることができ、
三月、個展の運びとなりました。
 そこで静岡のご自宅兼アトリエにお邪魔して、色々なお話を
伺って参りました。




「心の中にあるもの」

蓮井:雑誌(『住む』no.20)に掲載されていた赤木明登さん(塗師)
   とのやりとりの中で、望月さんが、「無地」的なものを好む
   昨今の風潮に触れ、そういうものとは反対の、小皿の様に
   小さなものにも絵を描きつけずにはいられなかった愛すべき
   手技、心の有様をお話されていましたが、人間って、無性に
   絵が描きたいというか、やむを得ない欲求みたいなものが
   あるんでしょうね。そういう欲求に突き動かされて数々の
   芸術が生み出されてきたと思うんですけど、じゃあ、
   そもそも、「美しい」と感じられるのはどんなものなのか。
   近頃「美しい国」とか「美しいもの」という言葉をよく耳に
   しますが、望月さんにとっての「美しいもの」というのは
   どんなものですか?
望月:一言で言うのは難しいんですが。なんというか、かたまり…
   血のかたまりのような、僕の中に「在る」ものがあるんですよ。
   体の中に、心の中に。それが形を持って出たがっているんです。
   そして僕はそれを吐き出したくてたまらない。
蓮井:心の中に…
望月:ええ、ここに(胸に)かたまりが。それが、色々なラインを
   持って在るんですよ。それを出したくてしょうがないです。
   もっともそれは容易いことではないけれど、方法としては
   手を動かすしかないんですよね。
   ですから、手と心と一緒になって、それがどんな形をして
   いるか確かめようとしている、という感じでしょうか。
   だから、心の中にある、そのかたまりが僕にとっての
   「美しいもの」なんですよ。
   世間で言われる快いもの、癒されるもの、というのは、
   すでに誰かの手によって世に表されたものなので、そういう
   意味ではあまり興味がないんです。
蓮井:なるほど。そういうものですか。
   …でも本来、そういうものだったんでしょうね?
望月:ええ、絶対そうだと思います。
蓮井:先史時代の壁画として有名なラスコーの洞窟壁画なんかも。
   自分が心に思い描いたものを、描きたくて、描きたいから、
   描いた…。
望月:だからこそ、あそこまで生き生きとしたものが描けたんだと
   思いますよ。




望月さんのブロンズ作品
(天才です)











「ものをつくる人間」

蓮井:先日、高松の四国村というところで、古美術の坂田和實(さかたかずみ)さんの講演会
   (「私の好きなもの美しいものを選ぶものさし…そして道具へ」)があって、僕もちょっと
   聞きにいったんですよ、そこで、こんなお話を聞いたんですがね、人間が作ったものには、
   神に捧げる為に作ったものと、権力者に命じられて作ったものがある、と。
   もちろんごく大まかな流れとしてですよ?僕はそれを聞いてとても興味深いと思った。
   信仰の為に、作りたくて作ったものと、人に作れと言われたから作ったもの…。
   先ほどのお話だと、望月さんは作りたくて作るほうです?
望月:ええ、でも僕が思うに、ものを作る人間は、例え命じられて作るにしても、自分の「素材」に
   向かった時点で、そこに「神」を見てるんですよ。
   だから誰にどんなふうに命じられようと、作りたいものしか作れないです。
蓮井:「作らない」じゃなくて、「作れない」?
望月:ええ、ものを作る人というのは、結局みんなそうじゃないでしょうか。そういう想いでなければ、
   かつてのどんな偉大な芸術家の手によったとしても、長い時間を超えて現代に残るような作品を
   生み出すことは不可能ですよ。
蓮井:じゃあ、逆に言ったら、命じられたらラッキーだということですね。スポンサーができたんだから。
   これで俺が思うような仕事ができるぞ、と(笑)
望月:そう、しめしめ、と(笑)


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