店主の
ひとりごと
雨過天青 | ![]() |
春のある日、大阪市立東洋陶磁美術館を訪ねました。 心地よい春風に吹かれ、静かに器と対話しました。 古来中国に於いて最高の青磁の色とは「雨上がりの青空の様な色」とされた様です。 器を見た一瞬に感じたのは、犯しがたい品性とフォルムの調和は、真善美を併せ持った仏様の 様だという事でした。真実であり、善きものに初めて美が舞い踊る事が分かったひとときでした。 日頃の喧騒の中でふと「雨過天青」の情景を思い浮かべたいと切に思いました。 ゆっくりと歩く事の大切さを知っている人達は全てに於いて無理と無駄がないのかもしれません。 最近、空をゆっくりと見上げる人が少なくなった様に思うのは私だけかもしれませんが、いつも 光は空の彼方より射してくれている事に、頭が下がる想いです。 時には器など人の手により創られた物を通じ、今の自分と出会う事も大切かもしれません。 |
|
vol.5 (2000年6月発行)より | |
←back・next→ |