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対談この人と
話そう...

たかす文庫「この人と話そう…」
陶芸家


渡辺 愛子さん
1971年 大阪府堺市に生まれる
1992年 嵯峨美術短期大学 美術学科 絵画Ⅲ科卒業
1994年 信楽の穴窯で焼成技法の勉強を始める
2001年 三重県伊賀の地に穴窯を築き、独立
      「穴窯陶廊 炎色野」にて初窯展
2003年 伊賀市に拠点を移転

2009年 窯場を移転3基目の穴窯を築く
聞き手 蓮井将宏(や和らぎたかす店主)


八月吉日、信楽、渡辺愛子さんの穴窯にて。
河井寛次郎さんの言葉、「仕事が暮らし。
暮らしが仕事」がモットー、夢は「世界平和」。
大学では現代美術を専攻、お酒を嗜み(香川の凱陣も大好きだそうです)、
畳の上できちんと挨拶が出来るようになりたいと思ってお茶を習い始めた、という素敵な女性。
大阪弁のイントネーションが優しくて朗らかでチャーミングな、渡辺愛子さんを訪ねました。

「 世 界 平 和 」
蓮井 やきものをやろうと思ったのはいつ頃なんですか?

渡辺 今思えば、私、出身が大阪の堺なんですが、住んでた辺りには古窯群があるところで、
昔は畑を掘ったら須恵器がぼろぼろ出てきたっていう。
それに歴史が好きで、博物館もよく行ってて、そういうのが、潜在的なきっかけになったのかな、と。
それと、子供の頃からお寺と仏像が好きで、でも学生の時は現代美術を専攻してて。
卒業してからは中学校の美術講師をしながら、やっぱりものを作るのが好きなので木彫をやってたんですけど、
なんか土を使って自分が作ってるものを作りたいなと思ったんです。
でも私、第二次ベビーブーム世代ですごい人数が多いから、
産地に行っても窯元の子供とかしか受け入れてもらえなくて門前払いだったんですよね。
それで陶芸教室に行ったけど、そこも感覚的に合わなくてすぐにやめて。
その時、偶々、高校の時の美術の先生が焼きものをやってたって思い出したんですよ。
それで電話したら、偶々信楽で穴窯やってて。で、訪ねたら、一瞬でハマったんです。

蓮井 さっき見せてもらいましたが、自分で自分の窯を作って、火を見ながら焼いて…、
たいへんな作業のようですが、ここでやって行こうと思われたのはいつぐらい?

渡辺 28です。奥多摩で活動されている陶芸家のところに窯焚きに行かせてもらったんがきっかけで。
4,5日、水も電気もないところでさせてもらったんですが、そこですごい感動したんです。
その人がいろいろ相談に乗ってくれて。それまでは自分の窯を持つなんて、お金がないと出来ないと思ってたんですが、
その人は、土地はただで借りてるし、薪も自分で作ってるし、
レンガは焼却場で使わなくなったやつをもらってきたからタダで出来るで、みたいなことを言ってくれて。
「女の人は丈夫だし出来るよ」って言ってくれたんです。それで、じゃあ私も作ってみよう、って。

蓮井 無理せずに、自分のペースで…こういうところで自然の声聞いてね。
昔からの方法は結局、そうなってますよね。物の作り方も元に還ろうとしているんじゃないかな。
もっと言うと、今の人はみんなそこに還りたいんじゃないかと思いますよ。
じゃあ、こうやって、自分の場所が持てて、これからの渡辺さんの夢はなんですか?

渡辺 ……すいません…

蓮井 すみませんって何ですか(笑)

渡辺 すごい漠然としてて…でもほんとに、いつも思ってるのは世界平和なんです。
やっぱり、それがないとダメって思ってるんで。
自分のことだけ考えてやっててもどこかで足元掬われるって思ってるんで。
やっぱりみんな幸せに、平和に。

蓮井 僕が思うに、現代はね、戦争の時代と変わってないような気がするんですよ。
若い人の自死も多いじゃないですか。弾が飛んでないだけ。みんな戦死してるんですよ。
だからこういうときほど、みんなが志を持って。世の為に、っていう気持ちがどこかにないと。
自己実現のためだけにものを作る時代は終わりましたね。

「仕事が暮らし、暮らしが仕事」
蓮井 ある人が言うには、明治までは、物を作る人は、すべて神様に捧げたものなんだって。
意識がそういうレベルだったんだって。だから「お」を付けて、「お米」、「お茶碗」。
それが、気が付いたら今は貨幣との交換物になってしまった。
それを元に戻すことは出来ないにしても、
物を作る人がそういう気持ちを失くしてしまったら、
極端なこといったら、手で作る必要ないんだもんね。
機械で作れば済む。

渡辺 そうですね。だから世界平和っていうのは難しいにしても、
とりあえず、自分がいるとこでちゃんと自分が立つっていうことが大事だなあ、って。
私、河井寛次郎さんが好きで。作品も好きなんですが、生き方とか、文章がすごい好きなんです。
「暮らしが仕事、仕事が暮らし」っていう有名な言葉があるんですがやっぱりそれが究極だな、って思ってて。
全てが出るなと思うんですよね、自分の作る物に。

蓮井 「仕事が仕事をしています」ってやつですね。
渡辺さんがそういう風なことを考えているってことはすごく伝わります。
個展が楽しみですよ。ちょうど今は夏祭りのシーズンですけど、
「祭り」は本来神聖なものとの「間」(真)を釣り合わすことだと言われていて、
だから陶芸も、僕は神様の火と自分の形を釣り合わすことじゃないかなと思ってるんですよ。
だから、そこに謙虚じゃないと。そういう美学を日本人はみんな持ってたはず。
そういうのを揺り起こすような個展をしたいですね。



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