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対談この人と
話そう...

たかす文庫「この人と話そう…」
黒田商店
黒田 恵さん
聞き手 蓮井将宏(や和らぎたかす店主)


◆ 一年中、体に良いものを履いていただく

蓮井 : 黒田商店さんといえば、”鼻緒”。細い鼻緒が主流だった時代に、拘りのある太めの鼻緒を作られました。
今までにないものを作って来られましたね。

黒田恵 : 常に”行きすぎ”てました(笑)。太い鼻緒作った時も最初はすごいブーイングで。
でも私がお嫁に来る時持って来たような従来のお草履はとにかく痛くて履きたくない。
うちは1916創業、今年で101年、私たちで3代目ですが、我々が代を継いだ頃はもうすっかり履物なんかなくて良い時代でした。
これから自分たちの力でやってかなきゃいけない、という時に、ふつふつと、これじゃやる気起きないな、と思うことがあって。
そんな頃、ちょうど子供達の手が離れて、お稽古事を再開したんです。
そのお稽古に、自分用に刺繍の半衿で作った鼻緒の履物を履いて行ったら、
「あら良いの履いてるじゃない」、「楽そうね」って、お言葉を頂いたんです。
それから「私も作って」と声がかかって。まず仲間内から始まったんです。
それで、ならば!というので、主人も協力してくれて、東京に勉強しに行きました。
東京の個性ある呉服屋さんを訪ねて、こういうお着物に合う足元を作りたい、というイメージがどんどん湧いて来て。
自分の中のモードを持ちたい、と思いました。その頃から、靴を履いたことないです。
どこへゆくにもウオーキング下駄。フォーマルの席用にコサージュも作ったし、
一年中とにかく体に良いものを履いて頂きたいから、夏だけじゃなくってね、
それからファッションにも合うように、ブーツカバーも作りました。



黒田 : その頃、私が作っていたうちの展示会用のポスターを見たある方に、
「ああいうの、誰が考えるんだね」って聞かれて、「私です」。
「どんな環境で?」、「サザンかけてノリノリでやるんです」って言ったら、「面白いね〜」と(笑)。
やっぱりそういう発想が大事ですよ。ノリノリの中で楽しく。
だからうちのライブスケジュールのタイトルはね、いつでも”履物が楽しい”っていうんです。
お仕事もそうだけど、なんでも、履いてても暮らしても、楽しくないと続かない。

蓮井 : 今日一日が大事で、あまり先のこと見すぎて、今が整ってないことって多いですもんね。



蓮井 : 東京の有名百貨店や歌舞伎座、ニューヨークでもライブ(展示会)をされていますね。

黒田 : 次はニューヨークでしたいんです、ってずっと言ってたら、導いてくれる方が現れましたね。

蓮井 : じゃあ次の黒田さんの夢は?

黒田 : 大きな夢といったら、地球上の人類がみんな鼻緒で暮らすこと。
うちの履物じゃなくても、鼻緒のついたもので暮らすこと。だからニューヨークにも行ったし、シンガポールでもやりました。
とにかくチャンスがあったら出かけていって、鼻緒の履物がいかに身体に良いかということを伝えていきたいんです。
人という生物にとって大事な構造をしているんですよ。
外反母趾になったり股関節がどうのというのは、歩き方の問題で、鼻緒で歩くと親指の付け根の母指球を使います。
これを使うことで内転筋を使って、O脚にならない。
今は健康のために歩け歩けということで、歩くためには一歩でも快適に、
楽に歩けるようにっていうんで靴が進化しすぎちゃって、靴が足を持ってってくれる。
それで足の裏は土踏まずまでぴたっとなって、ふんわり包まれて、靴の底が体を持ってってくれる。
足が歩いてないんです。

蓮井 : 靴が歩いているんですね。

黒田 : ニューヨークでの最初のお客様はウォーキング教室の先生でした。目から鱗だって仰って。
教室の優等生が一番最初に歩けなくなったんですって、股関節やられて。
なぜかというと歩きすぎるから。正しく歩いてたらいいんだけど、スニーカーに頼って。
それでも最初は先生に教わった歩き方で歩いてるんだけども歩数に囚われちゃって、自己流に歩いちゃう。
人は足で歩かなきゃいけないと私は思ってるの。自分の身体本来の機能を活かした生き方をするべきなんです。

蓮井 : 日本ではいつ頃から履物ってあるんですか?

黒田 : 縄文時代。田下駄です。縄文時代から戦前まで日本人は下駄で暮らしてましたよね、必要だったんです。
暮らしの中で合理的に働くものでないと長続くしてかないですよね。
歩くって一番大事な体の整え方なんです。鼻緒に足を入れることで正しい姿勢がとれるようになる。
お試し履きをライブ会場に置いてるんですけど、みなさん、履いてみると、すっと背筋が伸びる。
あら?って、え?って驚かれます(笑)



◆ 黒田さんへ

「Dream comes true」という言葉がピッタリの黒田さん。
お話を伺いながら一緒に楽園を歩いている様でした。勇気をもって一歩踏み出す大切さを…。
小生がインドに行った時も、黒田さんの草履を履いてゆきました。
日々がとても楽しく愉快でした。物は単なる物ではないと知ります。
どうぞこれからも黒田さんの履物が人々を幸福にしてくれます様に!
先代よりご縁を頂き今に至る事を心より感謝致します。

たかす店主 蓮井将宏



 vol.73(2017年6月発行)より


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