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店主の
ひとりごと

「 イ ン ド 紀 行 」
2015年の12月にインドに初めて旅をしました。
この縁を戴いた真木千秋・ビジョイ・六車さん達に心より感謝します。


【無秩序の中の秩序】

到着は夜。そのままデリーのホテルに泊まる。
airportからタクシーでホテルに行くまでにもうインドを満喫する。
人の多さと警備の物々しさ。夜空はスモッグで見えない程………、凄い処だ。
ホテルは少し高級なところなのか、ロビーにサリーの女性達がいて、
本物の刺繍の美とその目鼻立の美しさに驚きを覚えた。

この国の貧富の差は、どこかに秩序を感じる。
それは人々が媚びていない事にあるのかもしれない。
この事は旅が終わった今でも心に刻まれている…。

翌朝、デラドンという処に出発する。今時珍しいような飛行機で。
とても牧歌的になるのが不思議である。真っ青な空と異様な飛行場。
デリーから1時間半ぐらいでその地に着いた。
真木さんの仕事場と建築中の工房を見るというのが旅の第一の目的なのだ。
真木さん、パルバさん、スタッフの方々が飾り気のない笑顔で出迎えてくれた。
(それは最終日まで当たり前のように続いた。普通であり普遍ではない日々。)

「ナマステ」この言葉はインドでは最強の言霊だと知る。どんな状況でも通じる魔法の挨拶だ。

建築中の遺跡の様な建物に着く。ゆっくり歩きながら手で触れるレンガ、石、土がなぜか懐かしく感じた。
その日の夕陽はものすごく美しく、一生の思い出になった。
皆で屋上に上がり、ただただ太陽と大地(地平線)を見つめていた。
こんなとき、言葉は不要になる。



夜は夜食。工房のスタッフであるラケッシュの家族の人々が心を込めて私達の為に用意をしてくれた。
本当に美味しく、毎日お腹一杯食べた、ーー故に、体重オーバーで帰国することになる。

旅に茶箱を持参した。真木さん達に日本のお茶を差し上げたいと思い。お菓子は芋ケンピ。
これがなかなか世界中の人々にうけた。(インド人の建築家夫婦、スイス、イギリスからの訪問者など)
茶会=ティー・セレモニーは、言葉は十分通じなくても心和ませることができると実感した。
言葉を超える行為である。

お茶を点てて差し上げると、茶杓、茶筅、全ての道具に彼らは興味を覚えるらしい。
私達にとり、当たり前の事が彼らには不思議なものに映る。
やはり、自分とものの見方が違う人と接して初めて自分の位置が明確になると感じた。

ちょうどその頃パリでテロがあり、多くの人々が犠牲になった。
平和こそ最も尊い文化である、そんな事をイギリス人女性と話した。
日本の文化にとても興味を持っている方だった。

「見知らぬ人同士、違う言語の人同士、会話する事は困難な事だけど、一番大切な事だね」
「こんな風に………」

と、お茶を飲みながら。
【この土は優しい】

建築家ビジョイにこの土地を初めて見た時の感想を聞いた。その時の言葉である。

彼はこの土を愛し、そこが人と動物がお互いを慈しむ場となり、
その場所に永遠に残る建物を創る為に仕事をしていると思う。
中庭には象が大好きな木を植えて、水飲み場を創るようだ。
彼はこの地を空から見ている。それを明確にする為に、位置、方位を正確にゲートと調和させている。
しかしここからビジョイの凄い所は、中心を知り、その中心を少し外すところだ。
まさに日本の美意識をこの空間に当てはめようとしている。
1/fのゆらぎ、わび・さび、命の花咲く空間を創ろうとしている。
彼こそが優しい人、gentlemanである。

聖地を創る聖者がいる。
【輪廻】

一日、ゆっくりとリシュケーシュに遊んだ。ガンジス川の上流の地である。
とても美しい川の流れる場所であり、聖地である。修行者の町でもある。
ガンガー渡船に乗り、町をくまなく歩いた。田舎のインドを目の当たりした。
猿、水牛達にも会えた。大きな吊り橋を渡った。
とても高いのでびっくりしながら…。

その橋の上に、体の不自由な人々が座っていた。

「本当の事は写真に撮れない…」
素直な感想である。

彼らを直視する事が今の私には難しい。
しかし彼らは凛としている。以前ある人から

「人が最後の輪廻に生まれる時は不具の体で生まれる」

と聞いたことがあり、それと重なった。

「彼らこそ仏に最も近い人か」と思うと心が熱くなった。

インドには底知れない力がある。人々が淡々と生きている。

日本に帰った時のニュースが鬱病の人々が110万人を超えたというものだった。
インドと日本、「衣食住」という考え方はインドから出発した様に思われる。
確かに日本は美しい国になったかもしれないが、「強さ」をなくした様に感じるのは私だけだろうか?

強さを伴わない美は本当の美ではない。

「微笑」を「ほほえみ」と読むと心和みます。今世界は混沌とした時を迎えています。
今こそほほえみをたたえ、躍動感と調和を大切に。
そういった人(光)が求められていますね。
【オリオン座】

最後に学生の時から大好きな星座がオリオン座。
インド最後の日の夜空にも、燦然と輝く星座の間にオリオンがありました。
世界中どこに行ってもオリオンは見られます。世界は一つの生命で繋がっている。
その事を忘れてはいけないと思います。戦争は「寛容」を忘れた時にやってきます。

真木さんの言葉を最後に。

「この地より戴いたものをこの地に返してゆきます」

 vol.68(2016年3月発行)より
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